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女性活躍支援拠点 京都ウィメンズベース

行政(京都府・京都市・京都労働局)と経済団体等が連携し、企業における女性活躍推進を支援しています。

弁護士法人古家野法律事務所

女性活躍推進・ワークライフバランスの取組みについて

女性活躍・WLB 推進に取り組みはじめたきっかけ

事務職員1名が妊娠され、産休、育休を利用されたことがきっかけです。 10名未満の小規模な事業場ですので、当時、事務所として就業規則を作成しておらず、適宜、京都弁護士会の職員の就業規則を参照していました。しかし、それでは、産休、育休、復帰の都度、ル ールを調べて準用するかを決めていかねばならず、どのような両立支援制度を使えるのかわかりづらい状況でした。

また、子育ての初期において夕方の時間はとても重要ですが、当時の就業時間は9時から18時で、子育てと両立するうえで終業時刻が遅すぎるように感じていました。一方、残業も常態化しており、ノー残業デー以外の日は20時頃まで事務職員が残って仕事をしていることが多くあり、年次有給休暇も特別なことがなければ取得されない状況でした。これでは、育児と両立する職員以外への業務負荷が大きくなるのではないかと思いました。

そこで、2012年に、事務職員対象として、自前の就業規則と育児介護休業規程を制定することにし、あわせて職員の希望も聞いて労働条件や働き方を抜本的に見直していくことにしました。

具体的な取り組み

両立支援行動計画 第1期(2012~2014年)

両立支援行動計画をみる(1.PDF)

目指したのは次のような状態です。

  1. 定時に帰宅すれば、夜7時には晩御飯を食べ始められるようにする
  2. 法定基準どおりの両立支援制度を整備し、積極的に利用される状況を実現する
  3. 業務や職場の調整により、特定の事務職員に負担がかからないようにする

そのために以下のような取り組みを行いました。

  1. まず、就業時間を、9時から18時までの8時間勤務(別途1時間休憩)だったのを、8時45分から17時15分までの7時間45分(別途45分休憩)に短縮しました。また、昼頃にも電話や来客があるため、労使協定により休憩を交替制として休憩を確保してもらうようにしました。
  2. 残業は事前承認制とし、出勤簿も改定して、月内の累計残業時間を本人も管理者も確認しやすく しました。
  3. 労働時間の管理についても、タイムカードを導入し、打刻ルールも明確にしてサービス残業を発 生させないようにしました。また、就業チャイムを導入して時間への意識付けをしました。
  4. 年次有給休暇について、半休や時間単位取得制度を導入して、取得しやすくしました。また、残 日数を自己管理できるように出勤簿を改定し、年休取得推奨日も設定しました。
  5. 以上を反映した就業規則と育児介護休業規程を策定し、様式や説明資料を整備し、両立支援制度の使いやすい環境を整えました。妊婦健診も母体に負担のないよう平日昼間に通院することを推奨し原則有給としました。

当初は戸惑いの声もありましたが、業務の効率化や平準化を急ピッチで進め、運用上の改善や定期面談を重ねながら理解を得るように努めました。そうした中で、みなの意識や働き方が変わり、残業時間が大幅に減少していきました。

両立支援行動計画 第2期(2015~2016年) 

両立支援計画をみる(2.PDF)

第1期は、法定基準の両立支援制度を事務職員が利用しやすい環境を整備するという考えで進めていましたが、第2期からは、法定基準以上に拡充することと、弁護士への展開を進めました。

  • 事務職員について

メンバーの育児の状況にあわせて、小学校3年生までの子を持つ事務職員について、限定的に時差出勤制度を拡大しました。 また、年次有給休暇の取得目標を掲げ、どの職員も取得率50%以上を目指してもらうことにしました。これにより年休取得率が大幅にアップして最低でも80%以上となりました。

  • 弁護士について

それまで取り組みが遅れていた弁護士についても、裁量労働制のもとでの各制度の準用規定を設け、育休中の就労の活用や、京都市の補助金を得てテレワーク環境の整備を進めました。 第2期の取り組みをもとに、2018年3月、法律事務所で全国はじめてとなる厚労省の「子育てサポート企業」(くるみん)を取得しました。

両立支援行動計画 第3期(2017年~) 

両立支援行動計画をみる(3.PDF)

第2期までは、まだ育児や介護は基本的には個々のライフの問題であるという意識が残っていましたが、第3期にはそれに変化が生じました。

  • 事務職員について

育児や介護の現実を知る中で、法定基準は最低基準にすぎず、それだけでは育児や介護の現場で起きる多様な事象に対応できないこと、育児や介護の問題は、個々の家庭の問題ではなく、この社会のあり方に関わる問題であり、社会制度の不十分に対して職場としてどう手当てをするかは経営問題であることに気づきました。そこで、それまでは無給としていた子の看護休暇や介護休暇を有給化するとともに、看護対象を同居又は2親等以内の家族に拡大しましたこれにより、例えば自分の親が重要な検査の結果を聞きに行く場合でも有給の看護休暇で同行することが可能となりました。また、短時間勤務や時差出勤制度の適用範囲をさらに拡大して職員のニーズに対応するとともに、京都府から補助金を得て事務職員についても在宅勤務ができる環境を整えました。実際に、事務職員が家族の看護で長期にわたって出勤が困難となった場合に在宅勤務を活用することができました。

  • 弁護士

弁護士のワークライフバランスについては、業務の性質や事業の有り方の観点から限界を感じていましたが、同業の京都府女性活躍・WLB 推進マネージャーに勧められて女性活躍推進計画を策定したことをきっかけに、ヒントが見つかりました。推進マネージャーと何度かディスカッションをさせていただくなかで、従来の法律事務所の有り方が専業主婦のいる男性弁護士を前提としたモデルであること、それを変化させるには経営責任の点で女性側の覚悟も求められることに気づきました。これは非常に重要な気付きで、事業の持続性をしっかり保ちつつ、各弁護士が仕事の方向性と生活上の責任(稼得責任とケアの責任)に応じて、互いに協力し合いながら、自分の働き方を選択することのできる事務所を目指していくという新たな課題を見つけることができました。

両立支援計画をみる(4.PDF)

取り組みによって生まれた良い変化

取組開始後、ベビーブームとなり、5年間で7人もの赤ちゃんが生まれました。

  1. 2012年 事務職員1名
  2. 2013年 事務職員1名
  3. 2014年 弁護士1名
  4. 2015年 事務職員1名
  5. 2016年 事務職員1名、弁護士2名

残業時間が大幅に減りました。

  • 残業時間の削減
    残業時間推移(1人あたり月平均)
  1. 2011年 24.6時間
  2. 2012年 13.0時間 ←取組開始
  3. 2013年 6.0時間
  4. 2014年 4.3時間
  5. 2015年 2.7
  6. 2016年 1.2時間
  7. 2017年 1.5時間

年次有給休暇の取得率が大幅に増加しました。

  • 年休取得率の向上
    最低取得率(取得日数/付与日数)
  1. 2011年 34%
  2. 2012年 31%
  3. 2013年 50%
  4. 2014年 20%
  5. 2015年 81% ←取得目標設定
  6. 2016年 90%
  7. 2017年 80%

取り組みの中で、テレワークの取り組みが京都新聞に取り上げられたり、京都モデルワーク・ラ イ フ・バランス認証企業や、法律事務所ではじめてのくるみん取得となりました
そうした中で、自分たちの課題と社会の課題をリンクして考えることができました。

継続する中で苦労された点、それを超えるために工夫されたこと

小規模な事業場ですので、公平性の確保には留意しました。そのため、次のような工夫をしました。

  1. 労働時間の適正な管理に努めました。タイムカード打刻のルールを明確化し、日報と残業承認制で状況を適宜把握しつつ、時の経過とともにばらつきが出てこないように適宜注意喚起を行いました。
  2. 子育て中の者以外への負担増を回避するために、毎日の朝の会での事務局内の業務調整、定期的な業務の削減・効率化、業務の平準化を進めました。また、休職者が出れば基本的には代替要員を確保しました。このほか、全職員を対象として、年休取得率の目標値の設定、10年勤務毎の連続5日のリフレッシュ休暇の付与、家族の看護休暇の導入などを行いました。

新しいモデルや具体的な取り組みについて情報が不足していたため、外部からの情報収集や意見交換の機会を重視しました。先輩の女性弁護士から話を聞いたり、社会学者の方のご講演などから、自分たちが直面する課題は、これからの社会のあり方にかかわる普遍的なテーマであることを知りました。また、2018年には、京都府女性活躍・WLB 推進マネージャーのご紹介で、各弁護士の目標の明確化・所内での共有化を積極的に進めながらワークライフバランスの取り組みを進める法律事務所と対談する機会をいただき、早速参考にしました。

女性社員への期待やこれから女性活躍推進・ワークライフバランスに向けて取り組みを考えていきたいという企業様に向けてのメッセージ

当事務所の事務所理念である「Happiness & Fairness」を内外に向かって実現したいと考えて、これまで地道に取り組みを進めてきました。しかし、家庭におけるケア責任が大きくなるタイミングでは、1日6時間の短時間勤務でも就労継続が困難になる場合があるでしょう。一方で、業務内容によってはある程度の労働時間が確保できないと仕事にならないということもあります。

稼得とケアは、いずれも人生に不可欠で、人生を豊かにするものです。職場は多くの時間を過ごす場所で、また事業を通じて多くの人に影響を与えます。メンバーの豊かな人生を応援できるようなシンプルで柔軟な職場づくりを今後も目指していきたいです。

各企業とも様々な取り組みや工夫を共有できれば嬉しいです。そういう中で、新しい「当たり前」がどんどん増えていけばいいなと思っています。

 

弁護士法人古家野法律事務所

所在
〒604-8166
京都市中京区三条通烏丸西入御倉町 85 番地 1 KDX 烏丸ビル 3 階
URL
http://www.koyano-lpc.jp/
創立
2009年7月
業種
弁護士業
従業員数
5人