京で輝く!女性活躍推進シンポジウム 「変化の時代を+(プラス)で乗り切る企業戦略 ~多様な人材が活躍できる組織づくり~」2021年10月22日(金)@ウィングス京都 

コ ロナ禍で暮らしや社会が一変し、これまでの“あたりまえ”が大きく変わる今。そんな変化の時代を、企業が「+(プラス)」で乗り越えるためのカギの一つが「多様性」です。オール京都で女性活躍を推進する輝く女性応援京都会議(事務局:京都市・京都府・京都労働局・京都商工会議所)では、これからの企業戦略を考えるシンポジウムを、2021年10月22日(金)ウィングス京都イベントホールにて開催しました。

●必要なのは“Equality(平等性)”よりも“Equity(公平性)”
●それぞれの「価値観」を尊重するために
●トップの意識が風土を変える
●「見えない違い」を理解すること

 

必要なのは“Equality(平等性)”よりも“Equity(公平性)”

基調講演でお話しいただいたのは、アマゾンジャパンの上田セシリアさん(コーポレート人事本部 ディレクター)。

「お客様の多様なニーズに応えるためには、社員も多様でなくてはならない」との考えから、Amazonでは、ユニークなスキル、異なる経験、視点、カルチャーとバックグラウンドを持つ多様な社員を意図的にメンバーにしています。
しかし、そんな多様な人材が自分自身の能力を発揮するには、決まったサポートを一律に行う”Equality(平等性)だけでは足りません。必要なのは、個々人それぞれに合ったサポートを行う“Equity(公平性)”だと、上田さんは言います。
例えば社員の在宅勤務を推進する際、「全員に同じリモートワーク機材を配る」のでは、個々人の異なるニーズに応えることができません。そこでAmazonでは「その人が必要なものを、必要な分提供する」を徹底したそうです。

人材が多様であれば、ニーズも多様。一つ一つの異なる要望に応えることは時には負担を伴いますが、それ含めて“違いを受け入れる”ということだと、上田さんは言います。

それぞれの「価値観」を尊重するために

上田さんが実現したルールの一つが「休む時になぜ休むかの説明は求めない」というもの。
「子どもが熱を出したので早退したい」も、「寝癖がひどいので遅れて出勤したい」も、どちらも本人にとって重要であることは変わりありません。しかし周りの人は、それが休む上で正当な理由かどうか、自分の価値観で判断してしまいがちです。
「理由なしで休んでよい」とすることで、それを防ぐことができるほか、本人の価値観をなにより尊重し、自分の価値観を押し付けないためのきっかけになります。

その他、メンバー同士で評価し合い高め合う風土作りや、男女の性差に偏らないジョブディスクリプションの見直し、採用や人事評価にまつわるアンコンシャスバイアスを取り除くトレーニングの徹底、有志の社員による社内のマイノリティ当事者へのサポート活動(アフィニティグループ)など、“全員がリーダー”の心構えで日々取り組んでいる多種多様な試みをご紹介いただきました。

トップの意識が風土を変える

後半のパネルディスカッションでは、村上圭子さん(公益財団法人 京都文化交流コンベンションビューロー専務理事)によるモデレートのもと、安藤孝夫さん(三洋化成工業株式会社 取締役会長)、伊藤尚志さん(デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 関西ユニット パートナー)、上田セシリアさん(アマゾンジャパン コーポレート人事本部 ディレクター)の四者でそれぞれの取り組みをシェアしました。

三洋化成工業株式会社の安藤孝夫さんは、社長時代、経済的要素や社会的要素だけでなく、従業員の「働きがい」や「幸せ」を重視する方針へと舵を切ったことが大きかったと言います。女性を始め、LGBTQ当事者や障がい者などの多様な人材が活躍できる制度作りや、ポジティブアクションを、トップとして積極的に行ってきました。

制度の充実と共に重視したのは、社内の風土改革。管理職向け研修や社員の勉強会、社員が本音で意見交換を行うサロンを何度も開催し、理解の促進を社長自ら推進。また、社長室を常に開放し、新入社員ベテラン区別なく声を聞き、提案を積極的に受け入れたことも、風通しを良くし、社内の風土を変えるきっかけになったそうです。

「見えない違い」を理解すること

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社では、わかりやすい属性ではない、「見えない違い」を考慮した取り組みを実現しています。

2020年から、主催・協賛・登壇するフォーラム等の登壇者に、多様な人材を起用する「Panel Promise」という施策をスタート。ジェンダー、世代、職位、職種、人種など多様なバックグラウンドを持つ人が経験を伝える機会を創り出しています。それは単なる数合わせでなく、新たな気付きを促し、イノベーションを生み出す源泉になっている、と伊藤尚志さんは言います。

また、「Cultural Inclusion Workshop」という施策では、コミュニケーション様式や、物事の決め方などに見られる、文化的背景の違いに着目。
異なる文化様式にいる人が物事を伝え合う時に起こりがちな誤解やすれ違いを防ぐため、双方の違いを理解し、直接的な表現で明確に言語化する「ローコンテクスト」なコミュニケーションを推進しています。

 

今回のシンポジウム全体通して何度も出てきたキーワードが「実験」でした。多様性のある職場づくりのために、「これさえしておけばOK」という正解はありません。だからこそ、変化の時代に成長している企業は、失敗を怖れずにチャレンジを実験的に積み重ねていました。一人一人の変化が、企業を変え、地域を変えます。京都に多様性を受け入れる風土を生み出していくことの希望を感じる時間でした。

ご来場の皆さんに聞いた!これからチャレンジしたいこと

  • “今まで通り”を変えていきたい。そのためにまず自分の意識を変えたい。
  • 失敗してもいいからやってみる!というスタンスを浸透させていきたい。
  • アンコンシャスバイアスを取り除くためのトレーニングをやってみたい。
  • 心理的安全性のある職場づくり(意見を言いやすい職場)を進めたい。
  • 経営者層と女性従業員のサロンを開いてみたい。
  • 制度にすると時間がかかるので、”実験”という言葉を使って様々なチャレンジを試みたい。

 

【主催】輝く女性応援京都会議(事務局:京都市・京都府・京都労働局・京都商工会議所)
【共催】関西女性活躍推進フォーラム
【企画運営】公益財団法人 京都市男女共同参画推進協会